No.3「紅葉」2005.10.13

◆◆ 渋滞の季節到来

私の仕事場は、川と山がすぐそばにあり、
とても空気のきれいな所です。

ぐるっと見渡すと、今はまだ緑ですが、
もうすぐ赤や黄色に染まります。

たくさんの人が、各地から紅葉狩りに来られるので、
秋の京都は大・大・大渋滞になります。

カエデやイロハモミジの下に、プロペラ付きの種がおちています。
紅葉狩りに出かけられたら、拾ってきて、
是非おうちで植えてみてくださいね。

葉が一枚でもちゃんと「ぱー」の形をしています。
自分で作る ミニ盆栽 もとてもかわいいものですよ。

◆◆ 色素と紅葉 

植物には様々な色素があります。

有名なものとして
フラボノイド系,カロチノイド系,クロロフィル系などがあります。

目で観る色は,複数の色素の濃度割合によりかわります。

温度・日照・紫外線・乾燥・傷害などの環境要因によって、
植物体内での代謝等の変化によって多分に色素代謝も影響されます。

紅葉は、夏から秋になるにつれて気温が下がっていって起こります。
だいたい最低気温が8℃以下になると始まるようです。

低温により葉緑素(クロロフィル)が分解され、
カロチノイド類という黄色い色素の割合が高まります。

その結果、葉が黄色に見えます。

一方,葉が紅くなるのは,アントシアンが作られたからです。

糖やでんぷんは、葉緑体で光合成によって作られ、
植物体内に転流しています。

寒くなると葉と枝の間の組織が変化し、離層が形成され始めます。
落葉の準備です。

それによって、糖などが幹へ流れなくなり葉に蓄積されます。
また、タンパク質代謝が停滞し、
アントシアン合成が盛んになり、葉中の糖などから作られます。

紅葉の黄色と紅色は全く違うメカニズムなのです。

春、芽吹いた若葉が紅いのに気づいたことはありますか?

秋の紅葉も若葉の紅葉も,アントシアンによって起こります。

若葉でのアントシアンは、
若葉が成長してクロロフィルを生産できるようになるまで、
紫外線から葉を守る働きをしています。

また、日光を吸収して、温度を上げる役割もしているのです。

アントシアンを合成しやすいかどうかは、植物によって、
また品種によって違いがあります。

ナスのアントシアンは,「ナスニン」と呼ばれるほど多く含まれています。

ナスの漬物を作るとき、古釘をぬかに入れておくと、
色よく仕上がるという昔からのおばあちゃんの知恵は、
アントシアン系色素が鉄などと結合してできる金属塩が青や紫色を呈し、
美しい色が安定する性質を利用したものです。

アントシアンという色素は、pHによって色が変化します。

酸性で赤色、アルカリ性で青色になる性質があります。

化学の実験で使われるリトマス試験紙はこの性質を利用したものです。

紅葉をみたら、
「おお~、アントシアン~」
「わお~、カロチノイド~」
と、心の中で思い出してみてくださいね。

◆◆ 編集後記

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

大渋滞の京都に来なくても、
京の銘菓をお手元に、
京都気分を味わいながら紅葉観賞っていうのはいかがですか?

こんなサイトありました。
     ↓
http://kyoto.main.jp/blog/

今後も植物について、色々な情報をお届けしていきたいと思っています。

どうぞくよろしくお願いします。